目次
クマに遭遇する前、遭遇したときに取るべき行動
行動原則
- クマの知識は身を助く。
- クマ性質を知る。
- 訪問地域のクマの出没状況 ( 日時、頭数、場所、行動、その他 ) を知る。報告書等があれば読んでおく。
- 訪問地域のビジターセンターなどでクマに関するレクチャーがあれば必ず受講する。
- 現地でクマに関するルールがある場合はそれに従う。
- 餌付き個体を発生させない。
- 人馴れ個体を発生させない。
- 遭遇しないように注意する。
- クマに人の存在を知らせる。
- クマが人に送る警告を見逃さない聞き逃さない。
- クマを興奮させない。
- クマがパニックを起こさないように注意深く対処する。
人馴れ個体、餌付け個体の発生を防止するための現地での基本行動
以下の行為はクマが人を襲うように学習させる非常に危険な行為なので絶対に行わないこと。
- クマがいても近づかない。
- クマの写真を撮らない。
- クマを見る等のためにその場にとどまらない。
- 車やバイク、自転車等乗り物を問わずクマに近づかない。
- クマを見る等のために車やバイク、自転車等乗り物を問わずクマの傍に停めない。
- クマに絶対に餌をやらない。
- 生息地で食料を放置しない。
- ゴミをその辺りに捨てない。
クマ対策三種の神器
以下のものを携帯し、必要に応じて使用する。
- クマ鈴やラジオなど音のするもの。
- 頭部損傷防止用の登山用ヘルメット。
- クマよけスプレー。
クマに遭遇する前にできること
- 音でクマに人がいることを知らせる ( クマ鈴、ラジオ、おしゃべり、その他 )。
- 登山用ヘルメット等により頭部を保護する。
- 飲食物やゴミの匂いが周囲に漏れないようにする。
- クマが出没した痕跡 ( 糞、足跡、食餌残留物、クマ棚、クマ剥ぎ、爪痕等 ) を発見したらその一帯にクマがいると認識する。
- すぐ傍の茂みや森にはクマがいるかもしれないと常に警戒する。
- クマが出す声や打撃音などの音に注意を払う。
- 獣の匂いがする場合すぐ傍にクマがいると認識する。
- クマよけスプレーはすぐ構えることができるようにホルスターなどで取り出しやすいところに装着する。
クマに遭遇したとき
原則
- 冷静であり続けること。
- クマを興奮させないこと ( パニックや極度の興奮状態になると襲ってくる )。
- 背を向けて逃げないこと ( クマの攻撃本能を誘発して非常に危険 )。
クマの種類別行動
- 1. こちらに気がついていないクマ
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- 2. こちらに気がついているクマ
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- クマを興奮させない。
- クマから目を離さない。
- 自分が人間であることを知らせる。
- クマを脅かさないようにゆっくりと手を振り、低音で自分がクマの脅威でないことを話しかけながらその場を静かに離れる。
- 絶対に走って逃げない。
- 安全な建物や車が傍にあれば、静かにそれらの中に入る。車の場合はクマを驚かせないように注意しながらその場を離れる。
- クマが食べ物やゴミに引き寄せられたと思われる場合で、それらがクマに奪われていないなら、クマが立ち去った後、それらを処理する。
- クマに食べ物、荷物、ゴミ、その他を奪われた場合、絶対にそれらを取り戻さない。
- 3. 近づいてくるクマ
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- クマを興奮させない。
- クマから目を離さない。
- クマに対峙する。
- 冷静さを保つ。
- 手を広げたり岩に登ったりして自分を大きく見せる。
- クマを脅かさないようにゆっくりと手を振り、低音で自分がクマの脅威でないことを話しかける。
- クマが接近を止めたときだけ後退する。
- クマよけスプレーをホルスターから抜き安全ピンを外して構える。
- クマよけスプレーがない場合は武器になるものを手にする。
- クマの接近の種類を評価する。
- 4. 防御的接近の場合
-
防御的になったクマはあなたに脅威を感じ、唸り超えを出す、吠える、地面を前足で叩いて大きな音を出す、威嚇突進を行う、などによりあなたを追い払うための行動をとる。赤信号に近い黄色信号が灯っていると考えなければならない。
- クマを興奮させない。
- クマから目を離さない。
- クマに対峙する。
- 冷静さを保つ。
- 手を広げたり岩に登ったりして自分を大きく見せる。
- グループで行動中ならグループで行動し、ばらばらにならない。
- クマが逃げるためのルートを確保しておく。
- クマを脅かさないようにゆっくりと手を振り、落ち着いた声で自分がクマの脅威でないことを話しかけながらゆっくりと後ずさり、距離を取りながらクマが逃げるのを待つ。
- 可能なら静かにその場を離れる。
- クマが接近を止めたときだけ後退する。
- クマよけスプレーをホルスターから抜き安全ピンを外して構える。
- 絶対に背を向けて逃げないこと。
- 威嚇突進か実際の攻撃突進か判別できない突進を受けた場合、クマが 3m にまで引き付けクマよけスプレーをクマの目と鼻に向けて発射する。
- クマよけスプレーがない場合は武器になるものを手にする。
- 防御姿勢を取りクマが離れるまでじっとする ( 有効性の評価が分かれている )。
- 5. 防御的でない接近
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非常にまれなレアケースではあるが、人を食餌として狩ろうとするクマが非常にごくまれに存在する ( 三毛別羆事件など )。その場合クマは人にわからないように静かに近づき一気に襲いかかってくるので助かる方法はあまりない。以下はあなたがそのようなクマに遭遇してそのクマがこちらに向かってくるのを認識できた場合の対処となる。
- 可能であれば、建物や車の中へ入りその場から立ち去る。
- 向きを変えて走ることは絶対にしない。
- その場を立ち去れないならクマに立ち向かって命の奪い合いをする覚悟を決め、それを態度に強く出す。
- クマに対峙する。
- クマを声や身振りで威嚇する。クマを怒鳴って追い払うつもりで。
- ホルスターのクマよけスプレーを構え、クマが 3m にまで来たら目と鼻に向けてスプレーを発射する。
- その他クマに攻撃することについて考え直させるために可能なすべてのことをする。
- クマに対して攻撃的になり、怒鳴り、岩を投げ、棒でクマを叩き、笛、エアホーン、または熊よけスプレーを持っている場合はそれを使用する。
- 死んだふりは絶対にしてはいけない。
- これからの人生全てを賭けて戦う。
あなたが取りうるすべてのことでクマに反撃することは、あなたを狩ろうとしているクマにその攻撃を躊躇させる最良の方法である。